こちら郵政省特別配達課!

ある時は水深2000mの海底でメタンハイドレートを掘削する深海怪獣モノ*1、ある時は恒星間航法の確立した世界である惑星を舞台にした植民地震災モノ*2、ある時は月面に民間で結婚式場を建設するプロジェクトXばりの技術者モノ*3を、またある時は高度200ftを飛び回る民間押し掛けレスキューヘリモノ*4、そしてある時は名古屋近辺を舞台に宇宙の平和の為にえらばれし地球の戦士と泥棒宇宙人の壮大なおっかけっこモノ*5
この全ての小説の作者 小川一水のもっとも作者らしい作品「こちら郵政省特別配達課!」が発売されました。

 昭和51年にヤマト運輸が始めた宅急便のおかげで、郵便局はピンチになった。
 復権の切り札は特配課。郵政省特別配達課。
 平成元年に生まれた特配は配達のスペシャリスト。どんなものでもどこへでも。あらゆる手段と機械を使って、何がなんでも届けます。
 新米課員の八橋鳳一と、特配九班の桜田美鳥が、〒マークのカウンタックで大爆走!
 (作者サイトより)

この売り文句は伊達じゃない。
依頼された郵便物(家、馬、壊れやすいワクチンなど)の為ならば、日本全土を知恵に人材、わずかな権力を駆使しカウンタックV-22オスプレイ、果ては最新機種のはしご車(高層ビルへの円滑な郵便配達の為。当然窓から)やH-2Aロケットまで使って配達する!
おいおいと思いながらも、強力な権力に反抗する姿を見て共感し、そして「文句があるなら霞ヶ関までいらっしゃい!」という権力の駆使に痛快さを感じながら苦笑い。
それでいながら、後半では郵政民営化(旧版「追伸・こちら特別配達課」発売時に小泉首相が誕生し、郵政民営化の話が出てしまった)の為、廃止されそうになる特別配達課を救うべく西へ東へ奔走するその姿に手に汗を握ったり。
 
……多少脚色はあるけど、まぁそんな感じでw
 
とにかく、この小説が「職業モノ」の傑作である事は間違いない。
読め!読まないと損だ!あと名古屋人も読むべきだ!
BOOK●FFでも買える。新品で買って欲しいけど。

さらには来年から放送予定の『よみがえる空 -RESCUE WINGS-』BD-BOX<特装限定版>【11.22 ON SALE】というアニメのノベライズも担当するらしい。どうもノリノリで書いたっぽいなぁ。
とりあえず作者様のサイトhttp://homepage1.nifty.com/issui/は見ても損は無い。

群青神殿 (ソノラマ文庫)

群青神殿 (ソノラマ文庫)

第六大陸〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

第六大陸〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

第六大陸〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)

第六大陸〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)

*1:「群青神殿」ソノラマ文庫

*2:「復活の地」ハヤカワ文庫

*3:第六大陸」ハヤカワ文庫

*4:「回転翼の天使 ジュエルボックス・ナビゲイター」ハルキ文庫

*5:「アースガード――ローカル惑星防衛記――」ソノラマ文庫